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2019年08月05日

防災の情報発信と、やさしい日本語の「はさみの法則」

やさしい日本語「はさみの法則」。はっきり言う。さいごまで言う。みじかく言う。

防災の日に向けて

毎年9月1日は「防災の日」で、前後1週間は「防災週間」とされています。2019年の防災週間は、8月30日(金)から9月5日(木)です。災害に備える機会として、この時期に、全国各地で防災訓練や普及啓発イベントが行われます。

当社(アルファサード)では、災害時の情報提供のために考えられた「やさしい日本語」に注目しています。

防災の日に向けて、情報アクセシビリティについて考え、わかりやすく伝える3つのポイントを学びました。この記事では、やさしい日本語の「はさみの法則」(はっきり、さいごまで、みじかく)について、ご紹介します。

逃げるための「おはしの法則」

防災で、まず思い出す法則として、小学校の避難訓練で教わる「おはしの法則」があります。

おはしの法則

  • おさない
  • はしらない
  • しゃべらない

避難する時の注意点について、頭文字で覚える標語です。「かけない」と表現する「おかしの法則」や、「もどらない」を加えた「おはしもの法則」など、地域や世代によって違いはあるようです。こういった防災教育は、1995年1月の阪神・淡路大震災をきっかけに広まっています。

ただ、避難行動を取るためには、まず災害情報を知る必要があります。災害の発生や避難の道順がわからなければ、逃げ遅れてしまう可能性があります。阪神・淡路大震災では、外国人の死傷者の割合が日本人の2倍という調査結果が出ていました。そこで、災害時の外国人への情報提供のために、「やさしい日本語」が考え出されました。

やさしい日本語

やさしい日本語」とは、簡単な言葉を使った、わかりやすい日本語のことです。

例えば、「高台へ避難しましょう。」という表現は、子どもや外国人には理解が難しい言葉です。「高いところへ逃げてください。」と言い換えることで、伝わる場合があります。同様に、「火災が発生しました。」よりも、「火事です。」の方が伝わりやすく、火災警報器でも使用されています。

総務省の「デジタル活用共生社会実現会議」の報告書で、外国人だけでなく障害者や高齢者に対しても有効な方法として、やさしい日本語の活用が推進されています。

第8章 多言語対応・オープンデータの推進等

8.1 多言語音声翻訳へのやさしい日本語の活用

「やさしい日本語」とは、外国人にもわかりやすいように、簡単な語彙や文法で短くはっきり表現する日本語であり、外国人のみならず、知的・発達障害、聴覚障害などの障害を抱える人や高齢者に対しても有効なコミュニケーション手法である。阪神・淡路大震災を機に考案された。

その性質上、多言語音声翻訳システムとの親和性が高く、「やさしい日本語」を使うことで多言語音声翻訳の精度向上が期待できる。「言葉の壁」により不便を余儀なくされている在留外国人等の生活環境の改善に向け、多言語音声翻訳の精度向上や在留外国人等との円滑なコミュニケーションの確保のために「やさしい日本語」の活用を推進する。

伝えるための「はさみの法則」

やさしい日本語でわかりやすく伝える3つのポイントとして、「はさみの法則」があります。

はさみの法則

  • はっきり言う
  • さいごまで言う
  • みじかく言う

(東京外国語大学 荒川洋平教授 提唱)

あいまいな表現を避けて、最後まで言い切り、一文を短くします。具体的には、以下のような例です。

  • 「地震なので気をつけて。」よりも、「地震です。頭を守ってください。」
  • 「110番に……」よりも、「警察に連絡します。」
  • 「川の水位が警戒水位を超えました。」よりも、「川で水がたくさん流れています。水の量が多いです。危ないです。」

その他の工夫として、ゆっくり言う、ですます調を使う、標準語を使うなども挙げられます。より詳しくは 「やさしい日本語」にするための12の規則 が参考になります。 (※注: 弘前大学社会言語学研究室のサイト閉鎖のため、国立国会図書館によって保存されているページへリンクしています。)

まとめ

2019年時点、訪日外国人が増加しています。外国人労働者の受け入れを進める「改正出入国管理法」や、国内で暮らす外国人への日本語教育の充実を促す「日本語教育推進法」が施行され、在留外国人の増加も予想されます。今後、地震も避難訓練も経験したことがない人が多くなることと思います。

災害時に情報を理解できなければ、情報弱者がそのまま災害弱者になってしまいます。(災害弱者: 高齢者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦、外国人など。)

やさしい日本語で外国人に災害情報を伝えられると、その人が、母語で通訳して全く日本語がわからない人に知らせたり、高齢者を連れて避難できるかもしれません。情報があることで、助けられる側から、助ける側になることもあるように思いました。

2018年7月の西日本豪雨を受け、避難勧告は5段階の警戒レベルが明記されるようになったり、字幕放送や手話放送など、情報伝達の工夫が増えているように感じます。日頃から、わかりやすい表現について考え、まずは「はさみの法則」(はっきり、さいごまで、みじかく)から意識できればと思いました。

アルファサードでは、日本語をやさしい日本語へ自動翻訳するウェブサービス「伝えるウェブ」をご提供しています。メディアサイトや自治体サイトでご利用いただいております。詳しくは記事『「やさしい日本語」自動翻訳サービスのご紹介』をご覧ください。

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