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2021年08月27日

S3 同期の際に Lambda で自動的に CloudFront のキャッシュをパージする

前回は、lsyncd を使ってコンテンツを S3 に同期する仕組みを構築する例 をご紹介しました。これにより、EC2 インスタンスで行われた更新を Amazon CloudFront のオリジンとなる S3 に同期することができるようになりますが、更新を反映するためには Amazon CloudFront のキャッシュをパージする必要があります。今回は、これを Lambda を使って自動的に行う方法をご紹介します。

前提

すでに S3 をオリジンとした CloudFront が稼働中の状態を想定しています。キャッシュのパージに一日あたりの上限を設けつつ、パージ実行のタイミングを明確にするため、(最上位階層かサブフォルダ内かに関わらず)特定の名前のファイルが更新された場合のみパージを行うものとします。

CloudFront ディストリビューションの ID を確認する

コンソールから、[CloudFront] > [Distributions] を表示した際の一覧の ID 列です。後述の手順で使うので、メモしておきましょう。

CloudFront ディストリビューション ID

キャッシュパージの回数を記録するための S3 バケットを作成する

コンソールから、[Amazon S3] > [バケット作成] から作成します。ここではバケット名を「limited-cf-purge-by-file-countup」としました。バケット名以外はデフォルトのまま [バケットを作成] ボタンを押します。

パージ回数記録のための S3 バケットの作成

Lambda 関数の作成

新しい関数を作成します。関数名はここでは「limited-cloudfront-purge-by-file」とし、ランタイムに「Python 3.8」を指定します。他の項目はデフォルトのまま [関数を作成] ボタンを押します。

新しい Lambda 関数の作成

関数が作成されたら、コードソースに下記をコピー&ペーストします。DISTRIBUTION_ID, ORIGIN_BUCKET_NAME, COUNT_BUCKET_NAME をご利用環境に合わせて変更してください。また、ここでは、ファイル名が「.purge」のファイルに変更があったら、一日に 10 回までキャッシュのパージを行う設定になっています。状況に合わせて COUNT_MAX, TARGET_FILE を変更してください。

また、念のため、CloudWatch Logs に記録するための print を入れています。

import boto3
import time
import re
from botocore.errorfactory import ClientError
from datetime import datetime

DISTRIBUTION_ID = 'CloudFront の ID'
ORIGIN_BUCKET_NAME = 'オリジンである S3 バケットの名前'
COUNT_BUCKET_NAME = 'パージ回数を記録する S3 バケットの名前'
COUNT_MAX = 10
TARGET_FILE = '.purge'

pattern = '(?:\A|\/)' + TARGET_FILE + '$'
compiled = re.compile(pattern)

def lambda_handler(event, context):

  s3 = boto3.resource('s3')

  key = datetime.now().strftime('%Y-%m-%d') + '.txt'
  object = s3.Object(COUNT_BUCKET_NAME, key)
  try:
    response = object.get()
    body = response['Body'].read()
    count = int(body)
  except ClientError:
    count=0

  print(count)

  if count < COUNT_MAX:
    print('NOT MAX')
    for items in event["Records"]:
      if items["s3"]["bucket"]["name"] == ORIGIN_BUCKET_NAME:
        if compiled.search(items["s3"]["object"]["key"]):
          print('FILENAME PATTERN MATCHED')
          client = boto3.client('cloudfront')
          invalidation = client.create_invalidation(
            DistributionId=DISTRIBUTION_ID,
            InvalidationBatch={
              'Paths': {
                'Quantity': 1,
                'Items': ['/*']
              },
            'CallerReference': str(time.time())
          })
          print('INVALIDATION CREATED')
          count+=1
          break
  else:
    print('IS MAX')
    return

  object.put( Body=str(count) )
  return

パージ回数を記録するバケットには、「2021-08-06.txt」のように、日付ごとにファイルを作成し、内容としてパージ回数が記録していきます。月ごとにする場合は、'%Y-%m-%d' の部分を '%Y-%m' にしてください。合わせて COUNT_MAX も増やしたほうがいいかもしれません。

※ このコードでは日付が UTC となりますが、内容の簡略化のため、JST にする方法はここでは触れません

コードソースの編集が終わったら、[Deploy] ボタンを押してデプロイします。このまま実行すると権限周りでエラーになるので、S3 と CloudFront に対する権限の設定と、オリジンである S3 の更新をトリガーとして関数を実行するための設定を行います。

アクセス権限の設定

[設定] > [アクセス権限] > [実行ロール] に表示されているロール名を選択し、ロールの編集画面を表示します。

ロール名を選択してアクセス権限を設定する

[アクセス権限] タブの [ポリシーをアタッチします] から、「AmazonS3FullAccess」「CloudFrontFullAccess」を追加しました。

※ ここでは簡略化するために上記の権限を付与していますが、範囲が広く、好ましい割当てではありません。運用ポリシーに合わせて適宜変更してください。

ポリシーのアタッチ

トリガーの設定

[設定] > [トリガー] > [トリガーを追加] からトリガーを追加します。

トリガーを作成する

[トリガー を選択] で S3 を、[バケット] で作成しておいた「limited-cf-purge-by-file-countup」を、それ以外の項目はデフォルトのままにして、[追加] を押します。

トリガーの設定

オリジンとなる S3 にファイルをアップロードしてテストする

ここまで完了したら、CloudFront のオリジンとなる S3 にファイルをアップロードしましょう。コードソースで変更していなければファイル「.purge」をアップロードしてみてください。その後、CloudFront の該当のディストリビューションの画面に進み、新しく Invalidation が作成されていれば OK です。

新しく作成された Invalidation

動作しないときは、CloudWatch のログを確認するなどしてみてください。

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